産み出す力……ゼロからの出発!
*県総合情報誌が創刊*

鳥取県の知名度アップを目指し、34年前に誕生した『鳥取now』(現『とっとりNOW』)。編集経験ゼロの初代編集長の奮闘ぶりと、各企画、取材、撮影などにまつわる奇想天外、悲喜こもごもの“ナウい”エピソード で足跡をたどる。

NOW創刊号表紙
『鳥取now』創刊号(1988年10月発行)

今ではすでに34年の歴史を誇る『とっとりNOW』。そもそも、鳥取県の情報誌として世に出ることになった背景は、人口最少県の鳥取が、あまりにも知られていないことの危機感からだった。しかも発行することで「県のイメージをアップさせ、付加価値を高める」という大きな課題を背負っていた。

当時、企画を担当することになった県の広報課は、課長以下、実行部隊は相当戸惑い、悩んだという。誰ひとり、冊子を作った経験などない。そのうえ県職員は、定期的な人事異動から逃れられず、編集経験が積めない。考えあぐねた結果、「やはり専任で継続的に関わる人材が必要だ」との結論に。その最初の網に引っ掛かったのが、私だった。

ところが、私も実はズブの素人同然。経験といえば、せいぜい学級通信、組織の広報紙、家庭新聞…と、私的レベルだ。「どこからどう手を付けたらいいのか…」と五里霧中、暗中模索…とのワードが脳裏によぎるほど、一杯いっぱいの日々が刻々と過ぎていく。公に出る全国に向けての情報誌だと思うと、都度、重圧に押しつぶされそうにもなった。それでも広報課の方々や、各専門の外部有識者、さらに制作会社さんの協力も得て、ゼロからコツコツと半年かけ、なんとか形が見えてきた。

一方、有償のため、販売ルートの開拓、営業活動なども同時進行する必要があり、この制作以外の業務も、かなりの手探りだった。

そして1988年10月1日、ついに『鳥取now』が産声を上げた。時は雑誌の全盛期でもあり、当時流行していた言葉「now(ナウ)い」を名前に採用。今手に取ってみても、我ながら力の入った充実した内容だったなと、ほくそ笑む。

【初代編集長M・K】

対談「麒麟獅子考」の記事の一部